日本昔話
私は屋久島が大好きで、2年に1度は屋久島ツアーに行っています。
今日は、そんな屋久島に伝わる民話をひとつ紹介します。
「チクヨムさんの鴨とり」という話です。
むかし、尾之間村に旦那の名はチクヨムさん、妻の名はミカンオゴジョさんという夫婦がおりましたげな。
ある年の冬、チクヨムさんがタブ(網)を持って、モッチョム岳に鴨とりに出かけました。
モッチョム岳は、屋久島の南側の海辺近くにそびえている高い山です。
南のトカラの島々から吹き渡ってくる雲はモッチョム岳に集まり、山肌を白化粧しながら、やがて奥の山々に散って行くのです。
びんろう樹の葉かげからあおぐモッチョム岳はひときわ高くそびえています。
ところで、チクヨムさんは身の丈が五寸、横も五寸という小さい人でしたが、自分の丈より長い九寸五分ある刀を腰にさして、刀の前をぐっと押さえ、うしろは高くそらして、いつもいばっていました。石塚孝一氏によると、その刀はミカンオゴジョさんがチクヨムさんにすすめてさしていたものです。
さて、チクヨムさんがモッチョム岳に登ってみると、これはこれは、鴨の鳥が何十羽も羽をそろえて並んでいました。
「うわあ、これはしめた。」
大喜びのチクヨムさんは、鴨に気づかれないように静かに寄って行って、力いっぱい、
「えいっ」
とタブをかぶせました。
そして、みごとに鴨の群を生捕りました。