機能と多様性に関する4つの仮説

この4つの見方のなかで最も古典的ともいえる考え方が、多様性安定性説です。


それは、要素が多く、複雑な系、すなわち多様度が高いシステムほど安定であるという見方です。


次のリベット説は、生態系を飛行機に、一つ一つの種を機体を組み立てているリベット(鋲)にたとえます。


わかりやすい比喩なので引用されることも多いです。


飛行機から1つ2つのリベットが抜け落ちてもその飛行にはそれほど支障はありません。


しかし、もし、一度に多数のリベットが抜け落ちれば飛行機は飛べなくなります。


それと同じように生態系でも、少数の種が絶滅しても、その機能にはあまり変化は生じないものです。


しかし、ある限界の値を超えて多くの種が抜け落ちると、機能や安定性が変化すると考えます。


・・・つまり、機能や安定性を確保するための種数には多少の幅があり、その幅のなかでは種が抜け落ちてもあまり影響はないが、それを超えて種数が減ると機能や安定性を保つことが難しいと考えるのです。

生物多様性と生態系の機能 2

同時に何種もの種の喪失を伴う生物多様性の変化であれば、その効果の予測を行うことはなおさら難しいことになります。


このような問題については、生態学の研究はまだまだ不十分な段階にあるのです。


さて次に、機能と多様性に関する4つの仮説を紹介しましょう。


生物多様性と生態系の機能や安定性との関係について、これまでに生態学で出された考え方を整理してみると・・・


4つにまとめることができます。


それらの考え方は、それぞれ、多様性-安定性説、リベット説、冗長度説、固有説とよばれます。


これら4つの見方は、どれか一つを採用すると、他が否定されるというようなものではありません。


互いにある程度内容が重なりつつも、そこで強調されている点が異なるというものです。


それらはいずれも、経験的に見い出された仮説であるというよりは、直感的あるいは理論的に導かれたものです。


最近では、これらの仮説の検証を試みる実験も実施されるようになりました。

生物多様性と生態系の機能

構成種が絶滅したり、逆に本来その生態系には含まれていなかった種がそこに侵入してきたとき、生態系の機能にはどのような変化が表れるでしょうか?


・・・生物多様性と生態系の機能との関係を知るということは、そのような疑問に答えることです。


しかし、残念ながら、比較的単純な生態系の特別の機能を除けば、今の生態学は現実の生態系の将来予測をしうるだけの十分な材料をもちあわせてはいません。


ただはっきりといえることは、例えば種が一種絶滅するとしたとき、その一種が絶滅することで生態系の性格(つまり構造も機能も)が大きく変化してしまうような種があるのです。


その一方で、それがなくなっても、生態系の構造や機能にはほとんど変化が生じない影響力の小さい種もあるということ。


・・・きわめて大きな影響力をもつ種はキーストーン種とよばれます。


ある種がキーストーン種となりうるかどうかは、その種と他の種との直接・間接の相互作用によって決まります。


種や種間関係はきわめてバラエティーに富んだものです。


キーストーン種のようなとりわけ顕著な効果をもたらす種以外については、一種が喪失したときの影響を予測することは、必ずしも容易ではありません。

日本昔話 2

びっくりした鴨たちはパサパサパサと羽音をたてて、網もろとも天空に舞いあがってしまいました。


この拍子にチクヨムさんもキリキリキリと舞いあがってしまいました。


何しろ鴨の鳥より小さい人のことですから、いっせいに飛びあがった鴨の羽の風に飛ばされてしまったのです。


しかしさすがにチクヨムさんだけあって、せっかく捕えた鴨の、網の綱は、体にしっかりくくりつけてあります。


モッチョム岳の空高く舞いあがったチクヨムさんを尾之間から見あげたミカンオゴジョさんは、


「チクヨムさあん、チクヨムさあん、腰にさしちょんクスゴーブ(九寸五分)は何のためかあ」


と大声で叫びました。これを聞いたチクヨムさんは、


「あっと合点、心得ましたァ」


といって、九寸五分の刀をさらりと抜いて、


「えいっ。」


力いっぱい、綱を切りました。


するとチクヨムさんは、キリキリキリ舞いながら落ちてきました。


ミカンオゴジョさんはいそいでふとんを庭に敷きました。


そしたら、チクヨムさんが布団の上にポンと落ちてきて、チクヨムさんはぶじ助かりましたげな。


そしこじゃい。


日本昔話

私は屋久島が大好きで、2年に1度は屋久島ツアーに行っています。


今日は、そんな屋久島に伝わる民話をひとつ紹介します。


「チクヨムさんの鴨とり」という話です。


むかし、尾之間村に旦那の名はチクヨムさん、妻の名はミカンオゴジョさんという夫婦がおりましたげな。


ある年の冬、チクヨムさんがタブ(網)を持って、モッチョム岳に鴨とりに出かけました。


モッチョム岳は、屋久島の南側の海辺近くにそびえている高い山です。


南のトカラの島々から吹き渡ってくる雲はモッチョム岳に集まり、山肌を白化粧しながら、やがて奥の山々に散って行くのです。


びんろう樹の葉かげからあおぐモッチョム岳はひときわ高くそびえています。


ところで、チクヨムさんは身の丈が五寸、横も五寸という小さい人でしたが、自分の丈より長い九寸五分ある刀を腰にさして、刀の前をぐっと押さえ、うしろは高くそらして、いつもいばっていました。石塚孝一氏によると、その刀はミカンオゴジョさんがチクヨムさんにすすめてさしていたものです。


さて、チクヨムさんがモッチョム岳に登ってみると、これはこれは、鴨の鳥が何十羽も羽をそろえて並んでいました。


「うわあ、これはしめた。」


大喜びのチクヨムさんは、鴨に気づかれないように静かに寄って行って、力いっぱい、


「えいっ」


とタブをかぶせました。


そして、みごとに鴨の群を生捕りました。


日本人だけが知らない外来の米売場 10

しかし、コメの販売は食糧事務所の管轄。


保健所にはなんの権限もありません。


しかし、このスーパーはコメの小売免許を持っていなかったので、日常的に指導監督を受けている保健所に、それとなくおうかがいを立てたのです。


そして仕入れ担当者は、「香辛料の一部として、インディカ米を扱うことを認められたんだ」と解説していました。


では、なぜこのスーパーは彼の提案を受け入れて、エスニックコーナーを設けたのでしょうか。


「別に日本人のお客をターゲットにしているわけではないんだ。


この近所にはパキスタンやバングラデシュといった外国人労働者がたくさん住んでいる。


そうした彼らへの、サービスの1つとして思いついたことだ。


コメをおいたのもその一環だ。


このコーナーが呼び水になって、店の売上げ増加に結びついたらと考えたことなんだ。


別にコメに力を入れているわけじゃないんだ」


こうした話を聞くと、スーパーで堂々と、当局の取り締まりを受けずに外国のコメが売られている事情が見えてきます。


「外国人が顧客だし、販売量もたかがしれている。そう目くじら立てることもないだろう」


おそらく、こんなところではないでしょうか。


外国産米の販売が、実際に香辛料の一部として黙認されたのかどうかは別として、日本のありふれたスーパーの店頭で1年以上にわたって販売されつづけているという事実は、きわめて重要なことです。

日本人だけが知らない外来の米売場 9

仕入れ担当の若者は、少しどぎまぎしながら返答してくれました。


あまり触れられたくないといった感じが、みえみえでした。


「棚のコメがなくなったら補充する程度で、仕入れは月に2回ぐらい。


このコメをおくようになって1年ぐらいかな。月に40から50袋は売れるよ。


でも、日本人はほとんど買わない。買っていくのは、外国人だよ」


店頭に並んでいたのは、間違いなく外国産のインディカ米でした。


日本では、外国産米の輸入はいうまでもなく、その販売も許されていません。


にもかかわらず、日本人客が中心のふつうのスーパーで、おおっぴらに店頭で販売されているのです。


これは一体どういうことなのかと首をかしげていると、彼がこの間の事情を説明してくれました。


経緯はこうでした。


あるバングラデシュの青年をアルバイトに雇ったところ、その働きぶりがあまりによく、社長以下全員がすっかり彼のことを気に入ってしまった。


で、その彼が、周辺に住む同胞達のために、店に香辛料をおきたいというようになり、それでスーパー内にエスニックの食料品コーナーが設けられるようになったというのです。


その際、社長が保健所への手続きを行い、インディカ米をおきたいという要望も伝えたそうです。


そうしたところ、「一定量を超えたら再考する」との条件がつけられただけで、黙認されたというのです。

日本人だけが知らない外来の米売場 8

手に取ってよく見ると、細長い粒のコメでした。


私達が食べている短い粒のジャポニカ種とは、明らかに種類の異なるコメです。


インディカ米でしょう。


隣には、香辛料のたぐいや、見たこともない豆類が並べられており、その棚全体がエスニックコーナーとなっています。


知り合いからの情報どおりでした。


近くにいたスーパーの店員にコメの経緯を聞いてみました。


店員は、スーパーの店名入りの作業着を着た、若い外国人男性でした。


色が浅黒く、バングラデシュかパキスタンのどちらかの国の人でしょう。


彼は、あわてて上司を呼んできました。


やってきたのは、まだ20代の若者。


このスーパーの経営者の息子のようです。


「このコメは外国産ですか」


「そう。インディカ米」


「どこから仕入れているんですか」


「隣の町に住む、パキスタン人の食料品店から買っている。仕入れ値?1キロ700円だよ」


「そのパキスタン人は、どこからコメを手に入れてるんですか」


「東京から買ってくるようだけど、その先は知らない。聞いたことない」

日本人だけが知らない外来の米売場 7

何人かに電話をしてみると、外国産のコメが身近なものになっていることが、改めて確認できました。


そして、確かな情報も手に入れることができました。


北関東のある地方都市。


どこにでもある、ごくふつうのそのスーパーマーケットは、夕方になって、女性の買い物客でにぎわっていました。


もちろん、買い物カゴを下げて歩いているのは、日本人ばかりです。


店員は、大安売りを連呼し、BGMがにぎやかに流れています。


そんなごくありふれたスーパーで、外国産米を発見しました。


展示品ではありません。


商品として店頭に並んでいたのです。


スーパーに出ていたその外米は、1キロ入りで1000円。かなりの高値です。


コメの入ったビニールには「RICE」と表示シールが貼られているだけ。


食管法で定められた精米表示などは、いっさいありません。

日本人だけが知らない外来の米売場 6

町での取材後、私は新たに外国人用の食料品店めぐりに乗りだしました。


外国産米が販売されている現場を、自分の目で確認したかったからです。


範囲を都内から神奈川県まで拡大し、何軒ものぞいてみました。


アパートの1室を店舗にした小さなものから、数人の従業員をかかえた大きな店まで。


しかし、結果は店の主人がいったとおりでした。


店頭にコメを並べているようなところはなく、店員にたずねても首を振るばかり。


外米のヤミ米は、ようとしてその姿が浮かんでこなかったのです。


しかし、それも当たり前のことでしょう。


日本人の一見の客の目に触れるようなところにおくはずもないですし、外米を売っていると答えるはずもありません。


なぜなら、それは禁制品のコメだからです。


私は取材の範囲をさらに広げ、知り合いの外国人達にたずねてみることにしました。


飛びこみでいってもムダだと判断したからです。


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